
自動散水システムを安全・確実に動かすためには、電磁弁をどう制御するかという電気の仕組みを理解することが欠かせません。
この記事では、つまずきやすい「電磁弁の電気制御」を、実機ベースの構成を使って丁寧に解説します。
読み終える頃には、配線図を見ても迷わず、必要な部材を自信を持って選べるようになります。
◆ この記事でわかること
- 電磁弁を動かすための電気の流れ
- リレーの役割と選定基準(コイル電圧・接点容量・AC/DC)
- 電磁弁の型番と電圧の注意点
- 電源容量の考え方
- 実機ベースの配線例(図解風)
- 初心者がやりがちなミスと回避方法
- 制御盤の構成イメージ
- 必要部材一覧(記事4)への導線
■ 電磁弁を動かすための電気の流れ
まずは、散水システムの電気制御がどのように動いているのかを整理します。
● 電気の流れ(基本構成)
- AC100V → タイマー(PT70DW)
- タイマーの出力100V → リレーのコイル
- リレー接点 → DC24V電源 → 電磁弁(ソレノイド)
ここで重要なのは、
「コイル側はAC100V、接点側はDC24V」
という“電圧の分離”が行われている点です。

タイマーはAC100Vを出力しますが、電磁弁はDC24Vで動作します。
この電圧の違いを安全に橋渡しする役割を担うのがリレーです。
■ 実機ベースの配線例
ここでは、実際の自動散水システムで使われる構成をもとに、配線の流れをまとめます。
● ① AC100Vの受電
- ケーブル:VCTF 2芯(白=L、黒=N)
- 盤内へ引き込み、タイマーの入力端子へ接続
- 盤内では必ず端子台で一度受けると安全性が高い
● ② タイマー PT70DW(AC100V)
- 入力:AC100V(白・黒)
- 出力:設定時刻になるとAC100Vをそのまま出力
- 出力線をリレーのコイル端子へ接続
- タイマーは「電気のスイッチ役」であり、負荷電流はほぼ流れない
● ③ リレー(4極・AC100Vコイル・ランプ付き)
- コイル:AC100V
- 接点:DC24Vを扱う
- 使用する接点:NO(常開)1極
- ランプ付きなら動作確認が容易で、トラブル時の切り分けが早い
配線の流れ:
- DC24V電源の+24V → リレーNO入力
- リレーNO出力 → ソレノイドの+24V
- ソレノイドの−24V → DC24V電源へ戻る

● ④ DC24V電源(LRS-50-24)
- 入力:AC100V
- 出力:DC24V(+赤、−黒)
- 電磁弁の主電源として使用
- 安定性が高く、盤内に収まりやすいサイズ
● ⑤ ソレノイドバルブ(DC24V)
- 型番例:2W-200-20(DC24V)
- リレー接点が閉じると24Vが流れ、水路が開く
- 消費電流は約1A前後(後述の電源容量計算に使用)
▼ まとめ
AC100V → タイマー →(AC100V)→ リレーコイル DC24V電源 → リレー接点(NO)→ ソレノイド+ ソレノイド− → DC24V電源へ戻る
■ リレーの選定基準
● ① コイル電圧
リレーのコイルは必ずAC100Vを選びます。
理由は、タイマーPT70DWがAC100Vを出力するためです。
DC24Vコイルのリレーを誤って購入すると、
まったく動作しないので注意が必要です。
● ② 接点容量
電磁弁の消費電流を必ず確認します。
例:
- 2W-200-20(DC24V)
消費電流:約0.8〜1.0A
リレー接点はDC24V 2A以上を推奨します。
接点容量が不足すると、
- 接点が焼ける
- 動作が不安定になる
- 最悪の場合、電磁弁が開きっぱなしになる
などのトラブルにつながります。
● ③ AC/DCの扱い
- コイル側:AC100V
- 接点側:DC24V
リレー内部は絶縁されているため、この構成が安全に成立します。
● ④ 極数(2極・4極)
4極リレーを選定しておくとよいと思います。
理由:
- Basicで使うのは1極だけでよいが、同一入力での出力分岐など、拡張性がある
- 残りは将来の拡張(LED表示・系統追加)に使える
- ソケット式なら交換が容易
- 2極リレーとの金額差異は小さい
■ 電磁弁の型番と電圧の注意点
● ① 電圧は必ず「DC24V」を選ぶ
散水システムではDC24Vソレノイドが最も安全で扱いやすいです。
AC100Vソレノイドは危険性が高く、盤内の電圧統一もできません。
● ② 型番例
- 2W-200-20(DC24V)
- 口径20Aで家庭菜園に最適
- 消費電流は1A前後 → 電源容量とリレー接点容量の基準になる
● ③ 電圧間違いは“即トラブル”
- DC24VソレノイドにAC100Vを流す → 即破損
- AC100VソレノイドをDC24Vで動かす → 動作しない
型番の「AC」「DC」を必ず確認することが重要です。
■ 電源容量の考え方(LRS-50-24)
● ① 電磁弁の消費電流を基準にする
例:ソレノイド1台=1A
→ 電源は2〜3倍の容量を確保するのが安全です。
理由:
- 起動時は定格以上の電流が流れる
- 夏場は電源が発熱しやすい
- 余裕があるほど寿命が伸びる
● ② LRS-50-24が最適な理由
- 出力:24V / 2.1A
- ソレノイド1台なら余裕がある
- 発熱が少なく盤内に収まりやすい
- 価格が安く入手性が高い
● ③ 複数系統の場合
- ソレノイド2台(合計2A)
→ 電源はLRS-75-24(3.2A)以上を推奨 - 系統が増えるほど、電源の余裕が重要になる
■ やりがちなミスと回避方法
● ① コイル電圧の取り違え
- DC24Vコイルのリレーを買ってしまう
→ タイマーの100Vでは動かない
必ずAC100Vコイルを選ぶことが大切です。
● ② 接点容量不足
- 小型リレー(DC24V 1A以下)を使う
→ 接点が焼ける
DC24V 2A以上の接点容量を選びましょう。
● ③ ソレノイドの電圧間違い
- AC100Vソレノイドを買ってしまう
→ 盤内の電圧統一ができない
DC24Vソレノイドを選ぶことで、構成がシンプルかつ安全になります。
● ④ 電源容量不足
- ソレノイドの消費電流を見ていない
→ 電源が落ちる
2〜3倍の余裕を持つことが重要です。
● ⑤ 配線の色を統一しない
色を統一するとトラブルが激減します。
誤った電圧を機器に流してしまわないように、電線自体の色を変えるか、絶縁キャップの色で分類するなど工夫をしておくことが重要です。
また、電線の太さを100Vでは2sq、24Vでは0.75sqなどのように変えておくと、視覚的にも「太いほうが大きい電圧・電流なので100Vようだな…」など、わかりやすくなります。
電線の太さが違うので、同じ色の絶縁キャップでも迷わなくなると思います。
- 赤=+24V
- 黒=−24V
- 黒=AC100V(L)
- 白=AC100V(N)
■ 制御盤の実際の構成イメージ
ここでは、盤内のレイアウトを「どこに何を置くか」という視点で整理します。
● 上段
- タイマー PT70DW
- AC100V端子台
- DC24V電源(LRS-50-24)
電源系を上段にまとめると、配線が整理しやすくなります。
● 中段
- 4極リレー(14ピンソケット)
- 動作ランプ付き
制御系を中央に置くことで、メンテナンス性が向上します。
● 下段
- ソレノイドへの出力端子台
- ケーブル(KIV 1.25sq)を外部へ引き出す
負荷系は下段にまとめると、外部配線がスムーズになります。
● 配線の流れ
- 上段:電源
- 中段:制御
- 下段:負荷(ソレノイド)
この構成は安全性・拡張性・整備性のバランスが非常に良いです。
■ 記事4(必要部材一覧)への内部リンク
この記事で紹介した部品の型番や選定基準は、
記事4「自動散水システムに必要な部材一覧」にまとめています。
具体的な型番・Amazonでの入手性・価格帯を確認したい方は、ぜひ記事4も合わせてご覧ください。
■ まとめ:この記事5で理解すべき“核”
- 電磁弁はDC24Vで動かす
- タイマーはAC100Vを出力する
- リレーはコイル100V × 接点24V
- 電源容量はソレノイドの2〜3倍
- 配線色を統一すると安全性が上がる
- 実機ベースの構成を理解すれば、配線図を見ても迷わない